現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。
◆「勉強なんて役に立たない」は本当なのか?
皆さんは、学生の頃に「勉強なんて何の役に立つんだ!」と思われた経験はありませんか? 僕も塾講師や家庭教師として働いていますが、中学生を中心に聞かれることが多いです。
高校生くらいになると、さすがにそうも言ってはいられないと思うようで、嫌々ながらも勉強に取り組むケースが多いのですが、特に中学2年生あたりの子からこの質問をぶつけられることが多いような気がしています。
確かに小中学校で学んでいる段階では、一見、意味不明な算術や歴史上の年号などがいったい何の役に立つのかわかりにくいかもしれません。
たとえば、元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏などは以前から「古文漢文必修不要論」を唱えているなど、「この科目は必修にしなくてもいいのでは?」という声は大人からも聞こえてきます。
◆「知識を得ること」は本来、贅沢な行為
でも、本当にそれでいいのでしょうか? たとえば。「東大王」のようなクイズ番組では「普通に生活する上ではそんな知識いらないよね?」と思わされるような雑学が披露されますが、これを知るのは大変面白いことだったりします。
実は知識を得ることそれ自体は、生活に密着していたり、実感を伴ってさえいたりすれば、とても楽しいことであるはずなのです。
ですから、子どもたちからそのような質問が出てしまう理由は、すべて大人にあると僕は考えています。
「大人がつまらなさそうにやっていることを、なんで僕たちもやらなきゃいけないの? どうせつまらないんでしょ」と、彼らはそう考えているのではないでしょうか。だからこそ、勉強自体に意味が見いだせないのではないかと感じています。
きっと彼らの周りには不幸にも勉強を楽しめない大人しかいなかったのでしょう。ですが、勉強や知識を得ることの本質は贅沢であり、趣味であり、楽しみです。
世の中には勉強を心の底から楽しんでいる人は年齢を問わず、無数に存在しています。今回は大人でも「勉強って楽しい!」と思えるような教養が身につく本を3冊、ご紹介します。
◆〇『笑う英会話』(彩図社)
最初に紹介するのは草下シンヤ氏と北園大園氏による『笑う英会話』です。
草下氏がある日、図書館で奇妙でシュールな英語の例文を発見したことがきっかけで作られた本書は、とてもユニークかつどこか笑えてしまう英文がイラスト付きで載せられています。
しかも、驚くことにそれぞれの例文がどの出版社の何という本から引用されているのかが、すべての例文に対して記載されているのです!
著者がウケを狙って、文法や単語がめちゃくちゃな適当な英文を作ったというわけではありません。面白く英語を学習したいという方にはオススメできる一冊です!
◆「ただ面白い」だけじゃない実用性
とてもユニークといわれても、これだけでは伝わらないと思うので、僕が特に気に入ってしまった例文を引用しようと思います。
This guy looks pretty old. Can he really be same age as I am.
「こいつ、やけに老けているけど本当に同い年かな」
The only thing I can do is dog-paddle.
「俺、犬かきしかできないんだ」
Did you come here illegally?
「本当は不法滞在なの?」
Jewelry disappears every time she comes over. I smell a rat.
「彼女がくるといつも宝石類がなくなるんだ。なにかにおうな」
このようにとてもシュールかつユニークな、一見すると使いどころがまったくないであろう英文ばかりが並んでいます。
しかし、この構文や文法事項自体はとても勉強になります。
たとえば、最初の文章では“pretty”という副詞が「かなり、とても」という意味を持つことがわかる好例になっていますし、“The only thing I can do is……”という言い方だけ覚えておけば、「俺は○○しかできないんだ」というシチュエーションにほぼ対応できます。
実はよく文章に目を凝らせば、非常に勉強になる本なのです。
◆〇『空想科学読本』(メディアファクトリー)
次に紹介するのは柳田理科雄氏が手掛ける有名シリーズ『空想科学読本』です。
このシリーズは明治大学理工学部の講師も務めている柳田氏が、アニメやマンガ、ゲームに登場するさまざまなファンタジーに対して、あえて現実的な目線から検証。ツッコミをいれるという構成になっています。
元々は塾講師を務めている合間に書き溜めたものを、塾の経営資金にあてるために書かれたというのですが、それが60万部の大ヒットを記録。そこから続編が出続け、今ではシリーズ全体では80冊近い本が刊行されています。
◆理科嫌いが苦手な人にこそオススメ
では、いったいどのようなことをやっているのか? たとえば「星飛雄馬の消える魔球は再現できるのか?」や「ドラえもんのタケコプターは本当に空を飛べるのか?」についてなどがありました。
当時、小学生だった僕には、著者がどのようなプロセスを踏んで思考しているのかちっともわかりませんでしたが、「頭のいい大人が、アニメの演出について、力学的な考察を加えつつ計算して真面目に考察している」ということは感じ取れた記憶があります。
東大に来た今でも『空想科学読本』という名前はよく聞きます。東大生の間でもよく話題に挙がる本で、少なくとも僕の周りでは多くの人が高く評価している印象です。
理科嫌いの人も難しいことを考えずにサラッと読めば、解消されるかもしれません。
◆〇『笑う日本史』(KADOKAWA)
最後に紹介するのは、伊藤賀一氏による『笑う日本史』です。
本書を一言でいうなれば、「先生が授業中にしてくれる日本史のおもしろ雑学トークのネタをまとめた本」。
社会科の講師である伊藤氏は、「あまり目的や問題意識と関係なく、とにかく楽しく読める日本史の本」を目指してこの本を執筆されました。
もともと「教室が揺れる」と称されるほどに生徒を笑わせ、楽しませる授業を得意とする氏ですが、今回の本にも持ち前のユーモアがいかんなく発揮されています。
◆面白いから知識も定着する
たとえば、「弥勒菩薩の薬指が折れた理由」という話では「弥勒菩薩が思ったよりもキレイではなかったからキレて指をへし折った説」の解説として「キャバクラで嬢を写真指名したら、パネルマジックがヒドくて、『誰だ、この野郎』とキレてしまうようなもの」と独特な表現で喩えています。
こんな解説、高校生には口が裂けても言えませんし、実体験もないでしょうからそこまでウケないと思いますが、大人だったらクスッとくることがあるのではないでしょうか?
ほかにも「義経はルール無視の卑怯者!? しかもブサイクだった!」や「実は『暴れん坊』ではなくて『甘えん坊』だった往年の徳川吉宗」など、ほぼすべての時代を網羅しながら、クスッと笑えるネタが100個にわたって紹介されています。
知識として人名や地名、年号を覚えるのは退屈でも、このような形なら無理なく日本の歴史を楽しみながら学んでいけるのではないでしょうか。
◆どんなものからも学び取る姿勢こそ重要
勉強に「苦しい」「つまらない」というイメージが一度ついてしまうと、それを拭い去るのはとても大変です。
「知識を得るためには難しい参考書を読まなければ!」と一度思い込んでしまうと、ユニークな参考書がまるでマンガのように見えてしまい、くだらないものと思いこんでしまうことに繋がるからです。
しかし、勉強はそんなに堅苦しいものではありません。それがどんなに下らないもののように見えても、なにか参考になることはあるはずであり、それを学び取ることがすべて勉強なのです。
まずは私たち大人が勉強に対する偏見を抱かず、周りにいるお子さんに「勉強って楽しいんだぞ」と教えられるようになるために、上記の参考書を使われてはいかがでしょうか?
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』が発売中(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa)
(出典 news.nicovideo.jp)
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