2020年も残すところあと数日となった。今年は冒頭より新型コロナウィルスの蔓延による話題が事欠かなかった印象だ。緊急事態宣言や自粛によって多くの人の生活に影響を与えたことは間違いない。
(参考:【写真】『SNS流行語大賞2020』発表)
そんな2020年、AppStoreではどんなアプリが最もダウンロードされたのだろうか。この記事では公式から発表されたランキングをもとに、今年起こった現象、流行を読み解いていく。
15秒~1分ほどの短い動画を投稿できる中国発祥のSNS「TikTok」。撮った動画をアプリ内で加工したり、特殊効果を使って編集できるため、投稿の手軽さで特に若い世代に人気のアプリだ。「JC・JK流行語大賞2020」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000017469.html)では、TikTokで生まれた流行語「きゅんです」が第1位に。第3位にはこれまたTikTok発の、“最上級のぴえん”の気持ちを表す「ぴえんヶ丘どすこい之助」がランクイン。ティーンの流行りはTikTokから生まれるといっても過言ではないほど、次々とトレンドを放出していることにより、ダウンロード数が矢継ぎ早に増えたていった結果といえる。
・第9位 LINE
コミュニケーションアプリ「LINE」は今や日常生活に欠かせないツールとなっている。2020年3月時点での月間アクティブユーザー数が8400万人ととてつもない数値を叩き出しているLINEだが、ここへ来てさらにダウンロード数を伸ばしている理由は一体どこにあるのだろう。
2020年には新型コロナの影響で自粛や在宅勤務を余儀なくされたが、この事実もさらにLINE利用に拍車をかけたといっても良いかもしれない。スマホをそもそも持っていない年配のユーザーなどが新型コロナの影響でスマホを持つようになり、コミュニケーションツールとしてLINEを新たにダウンロードして利用すると考えるのは、ごく自然なことだ。
・第8位 Amazon Music: 音楽やポッドキャストが聴き放題
第8位にAmazon Musicがランクインしたのは、筆者としては若干意外だった。ネタばれになるが、実はこのランキングに入ってきた音楽アプリはこのAmazon Musicのみである。肌感覚では、Spotifyユーザーが多いと感じていたのだが(ちなみにSpotifyはTOP20にもランクインしていなかった)。
ここにも実は理由があって、Amazon Musicで全7000万曲を利用するには月額780円が必要だが、Amazonプライムに入会していれば200万曲は無料で利用できると言うメリットがあるのだ。Amazonプライム会員であれば「とりあえずダウンロードしてみよう」と思うユーザーが多いはずだ。
・第7位 YouTube
YouTubeがステイホームの時間をハッピーにしてくれたと感じる人は多いはずだ。今年はNetflix等、「ステイホームを楽しくするツール」が爆発的に伸びた印象を受ける。
特に自粛期間中は芸能人や著名人のYouTube参戦が増えたことで、これまでYouTubeに興味がなかった層も取り込みつつある点にも注目したい。最近ではYouTubeの急上昇ランキングが芸能人のチャンネルで占められることも少なくない。
・第6位 Uber Eats(ウーバーイーツ ) 出前/デリバリー注文
納得の6位入選。自宅に居ながら行きつけのレストランの料理を食べる事もできるUber Eatsが、ステイホーム時代に流行らないわけがない。また、在宅ワーク増加により、家で食事をする機会が増えたことで3食作ることの難しさや煩わしさからの影響もある。それくらい大活躍しただろうこの出前&配達アプリだが、利用地域が限られているなどの課題も見受けられる。しかしながら競合をみても、未だにどこも利用地域をあまり広げられていない現状から、新規ユーザーを安定して獲得し続けている。
・第5位 Instagram
新型コロナの影響で人気が出たツールとしてもう一つ上げられるのが、Instagramだ。Instagramは2019年から2年連続でダウンロードランキング第5位を獲得するなど、安定した人気を博している。
既にある程度のユーザー数を獲得しているInstagramだが、今年は15秒から30秒等の短い動画を編集し、投稿できる「リール機能」がリリースされた。これはTikTokと似た機能で人気を博している。
また、コロナ禍で国内外の著名人らがインスタライブを積極的に行ったことも、ユーザー増加の一因となった。
実は、今年のランキングにNetflixは入っていない。その代わりにランクインしたのがこちらのAmazonプライム・ビデオだ。新型コロナの影響でNetflix等の動画配信サービスが爆発的に伸びたと言われたが、なぜダウンロードアプリ数に反映されなかったのだろうか。
とはいえ、この疑問に対しての答えはそう難しくはないと筆者は考えている。単純にNetflixをアプリではあまり観ないのだ。動画配信サービスの普及とともに圧倒的に売れた商品にFire TV StickやChromecastなど、TVで動画配信サービスを視聴できるデバイスがある。動画配信サービス各種はこれらのデバイスやPCなど、大きな画面で見られることが多い。
「それはAmazonプライム・ビデオでも同じでは?」と思われる方は多いかもしれないが、大きく違うのがAmazonプライム・ビデオがAmazonプライム会員特典であるという点である。新型コロナの影響で外出しづらくなり、最低限の買い物も全てAmazonに頼るようになった人は多いだろう。そういったユーザーはまず間違いなくAmazonプライムに加入しているはずだ。
そして、その特典としてAmazonプライム・ビデオも楽しむことができるとあっては、「とりあえずダウンロードしてみよう」とならない方が変だ。これは、Amazon Musicが多くダウンロードされた事とも通じる。また、Amazonプライム・ビデオはコンテンツによってはダウンロードしてオフラインで楽しめるのも魅力の一つだろう。
Amazonプライムの普及が,、そのままアプリのダウンロード数を反映していると見て間違いない。
新型コロナウィルス感染拡大を食い止めるべく、厚生労働省が提供しているアプリである。新型コロナウィルス陽性者と接触した可能性がある場合に通知してくれるサービスで、厚生労働省の正式発表によると、2020年12月18日の段階で約2191万件ダウンロードされている。
当然と言えば当然ではあるが、6月にサービスを開始した事を考えるとすさまじい伸び率である。
・第2位 PayPay-ペイペイ
昨年のダウンロードランキングで1位だったPayPayが、今年も2位と順調な伸び率を見せている。ここ数年キャッシュレスの流れが加速している中で、PayPayは特に人気のコード決済サービスだ。
他のコード決済アプリと比べて、キャンペーンが多くて間口が広いのがその要因の一つだろう。2020年12月現在でも、対象ネットストアでPayPay支払いをした人の中から抽選でキャッシュバックを受けられる「ペイペイジャンボ」や、公共料金や税金を支払う事でボーナスポイントがもらえたりと、常に様々なキャンペーンを打ち出しているのが特徴だ。
筆者もPayPayユーザーだが、使い始めたきっかけはスマホの契約を切り替えるタイミングでキャンペーン対象となったからで、それ以来頻繁に利用している。「とりあえず使ってみるとお得」と言うキャンペーンを様々なシーンで見ることができるため、始めやすいと言える。
おそらくコード決済サービス自体の需要が高まっているため、PayPay以外のサービスもこれからどんどん伸びてくるだろう。
ZOOMが2020年のダウンロードランキングで1位を獲得したことに疑問を抱く人はいないだろう。新型コロナの影響で在宅勤務を強いられた企業の多くが、ZOOMを利用してオンライン会議を行うようになった。
しかし、ビデオ会議ツール自体はGoogleMeet(旧Googleハングアウト)やSkypeなど、ZOOM以外にもいくつもある。ではなぜZOOMだけが突出して使われるようになったのだろうか。
そこには、ZOOMが他のビデオ会議ツールに比べて圧倒的に「利用方法がシンプルで簡単」という理由がある。URLからそのままアクセスでき、少人数から100人単位の大会議まで対応可能。難しい設定はほとんど存在せず、接続すれば誰でもミーティングに参加できる手軽さが人気の一番の要因だ。
コロナ禍では、ビジネス目的のミーティングのみならず「ZOOM飲み」などオンライン飲み会も大流行り。コロナ禍の影響で逆に数十年来の友達と再会できた、といった声も少なくなかった。
さらにZOOMの凄いところは、このツールによる世の中の変化が一時的なものではないと推測できる事だ。確かに今はコロナ禍で大きな移動しづらい状況において多大な力を発揮した。しかし、おそらくアフターコロナにおいてもZOOMによって今までのような出張や面談などは劇的に減るだろう。
それほどまでに、コロナ禍と共にZOOMは世の中の仕組みを変えてしまったと言っても過言ではない。
以上、今年最もダウンロードされたアプリをランキング形式で紹介してきたが、どのくらいのアプリを利用していただろうか。ちなみに、筆者も概ね利用していた。
今年は特に新型コロナの影響で例年とは違った需要が生まれた一面もあった。来年は一体どんなアプリが人気を博すのか、注目してみたいと思う。(長門繭)
(出典 news.nicovideo.jp)
<このニュースへのネットの反応>
コメント
コメントする